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A02 太陽系形成時の化学環境の解明
地球外有機物の精密分析と再現実験を組み合わせ、太陽系形成時の初期化学状態の解明に挑みます。小惑星起源の隕石や彗星起源と考えられる惑星間塵、また、探査機「はやぶさ2」が持ち帰るC型小惑星リュウグウ試料中の有機物の総合分析をおこない、元素 (炭素、水素、酸素、窒素、硫黄)・同位体組成、分子構造などを決定します。これらの有機物は原始太陽系円盤形成時につくられた後、原始太陽系円盤や小天体で熱や光、水によって変質し、現在の化学状態になっています。地球外有機物と共存する鉱物から、それらの有機物が経験した変質過程を推定し、変質前の太陽系最初期有機物の化学状態(元素組成、分子構造、同位体、物性)を制約します。星間氷への光照射を模擬した光化学反応有機物形成実験、および原始惑星系円盤や小天体条件での有機物やケイ酸塩の変質実験をおこない、太陽系最初期有機物ならびにその形成と変化を再現する条件(特に有機物の材料となる分子種とそれらの存在比。これらは惑星系形成領域の観測で多様性があることが知られています)を明らかにします。観測班・理論班とも協働し、初期太陽系での化学過程ならびに太陽系形成時の化学環境を、惑星系形成領域の多様な化学の中に位置づけます。

A02計画班代表:橘 省吾
東京大学 大学院理学系研究科
宇宙惑星科学機構 教授
橘 省吾
Shogo Tachibana
東京大学
大学院理学系研究科
総括・光化学実験・変質実験