A05 単分子表面分光手法を用いた塵表面における反応素過程の分子レベル解明

ガスと塵で構成される分子雲は、恒星を誕生させ、その周囲には惑星の母胎となる原始惑星系円盤がつくられます。分子雲から原始惑星系円盤形成までの構造形成の場は、化学反応が非常に活発に起こる分子進化の場とも言えます。特に、塵表面での分子の表面反応素過程(吸着、拡散、脱離、分解)の理解は、分子進化の全容を解明する上で非常に重要です。従来の星間化学では、極低温環境下における物理的にシンプルな仮定に基づいたモデルにより学理が構築されてきました。しかし、近年、観測の進展により、分子雲の化学的多様性が惑星系形成領域にまで引き継がれ、さらなる化学過程が起こっていることがわかってきています。そのため、極低温から中間温度(10–300 K)にかけて、熱励起に起因する豊かな化学反応プロセスの重要性が 観測から指摘され、物質の性質や分子科学的知見に基づいた理解が必要不可欠であると認識されつつあります。本研究では、極低温から中間温度の幅広い温度領域における表面反応素過程の基礎学理の再構築に向け、単一分子・原子レベルでの実空間観測・表面分光を駆使し、塵表面での反応素過程の詳細を解明し、宇宙における物質進化の学理の再構築をめざします。

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A05計画班代表:今田 裕

理化学研究所 開拓研究本部

Kim表面界面科学研究室 上級研究員

今田 裕
Hiroshi Imada

理化学研究所
開拓研究本部

総括および単分子反応の観測と解析

数間 恵弥子
Emiko Kazuma

理化学研究所
開拓研究本部

光STMによる単分子反応の観 測と制御

金 有洙
Yousoo Kim

理化学研究所
開拓研究本部

塵モデル表面の作製と評価

杉本 宜昭
Yoshiaki Sugimoto

東京大学
大学院新領域創成科学研究科

AFMによる表面素過程の観測と解析

香内 晃
Akira Kouchi

北海道大学
低温科学研究所

TEMによる拡散バリアの評価

清水 智子
Tomoko Shimizu

慶應義塾大学
理工学部

塵モデル表面のSTMによる評価